金継ぎは破損した骨董品の修復方法として取り入れられている、漆を使った伝統的な技術です。今では海外でも非常に高い人気があります。「壊れたもの」は本来価値が下がる傾向にありますが、金継ぎはむしろその価値が上がることもあります。
そんな骨董品界を盛り上げる金継ぎの魅力についてご紹介します。
金継ぎの歴史
金継ぎの技術は、約400年前の器にその修復の痕跡がみつかっており、非常に長い歴史があることわかります。
室町時代に始まったと言われるこの技術の起源は、当時の茶会文化が大きく影響しています。将軍から公認されていたもののみが茶会を行うことが許されていました。茶道は権力の象徴とされていたので、将軍から褒美として与えられた茶道具は当時は城が買えるほど高価だったといいます。そのためこれらの茶道具の破損が深刻な問題とされており、その解決策として金継ぎによる修復技術が発達したと考えられていま。
金継ぎの美しさ
今日では「金継ぎ」は世界共通語となっています。器の傷を隠すことなく美学として表現する「わびさび」の精神性や芸術性は、日本だけでなく文化を超えて共感を得ています。
金継ぎは、2021年のパラリンピック閉会式でパーソンズ会長による挨拶のなかで言及されたことがあります。金継ぎのように「不完全さを隠すのではなく、受け入れ、称賛する」という考え方は、まさに持続可能な未来のために必要なこと、として紹介されました。金継ぎの持つ独自の美しさは分断された世界をつなぐシンボルとして、世界中に一気に認知されるようになりました。
金継ぎの技術
金継ぎには以下のような技術が含まれています。
- 接合 ー 壊れたり欠けた陶磁器の破片をくっつけます。
- 補強 ー 欠けてしまった部分やひびの入った部分に、漆の接着剤で補強します。
- 研磨 ー 漆が乾燥したら、表面を磨きます。
- 金塗り ー 接合部に金粉をまぶします。
一見簡単そうに思えますが、実はより器を綺麗に見せたり、余計な凹凸をのぞいたりするのは至難の業です。これらの技術を習得したプロの金継ぎ師による作品は非常に価値のあるものとして高値が付くなど、骨董品好きをはじめ多くの注目を集めています。
世界で広がる金継ぎ
金継ぎは今、徐々に世界での認知度を獲得し、多くのファンています。この様子はビーベットが日本でコツコツと人気を高めていったときのようです。各国でワークショップが開かれるようになっています。また金継ぎの商品も海外の販売サイトで見かけることができ、高値で取引されているものもあります。今後も金継ぎのファンはさらに増えていくことでしょう。